カフネは、ポルトガル語で「愛する人の髪を優しく撫でる仕草」という意味があります。
一体、本作ではどんな意味をもたらすのでしょうか?
2025年本屋大賞を受賞した話題作、阿部暁子さん著の『カフネ』の魅力や感想、評判をネタバレなしでご紹介していきます。
派手な展開はありませんが、本書はジーンと温かい気持ちになる感動作になっています。
ぜひ、癒されたい人におすすめですよ!
『カフネ』の基本情報
作品情報
タイトル:カフネ
著者:阿部暁子
出版社:講談社
発売日:2024年5月22日
ジャンル:家族小説、ヒューマンドラマ、グルメ小説、大人の青春小説
著者情報
著者・阿部暁子(あべあきこ)さんは、岩手県花巻市出身の日本の小説家です。
あの宮沢賢治と同じ出身地ですね!
それに大谷翔平選手の母校も花巻です。
岩手県の花巻市がどんな所か気になっちゃいますね。いつか聖地巡礼をしたいものです。
本作『カフネ』は、2024年に第8回未来屋小説大賞、2025年に第22回本屋大賞を受賞しています。
今後の作品にも期待ですね!
あらすじ

最愛の弟を突然の死で失い、失意の底にいた姉・薫子。弟の元恋人だったせつなと出会うも、彼女の無愛想な態度に戸惑う。しかし、疲労で倒れた薫子に、せつなが差し出したのは想像もしなかった温かい手料理だった。
二人は家事代行サービス『カフネ』の仕事を手伝うことになり、様々な人々と関わる中で、互いの過去と向き合っていく。食べる喜び、人と繋がる温かさ、そして「カフネ」に込められた本当の意味を知る感動の物語。
主な登場人物
野宮 薫子
法務局に勤める「超」がつく真面目人間&おせっかいな人。
そんな彼女は不妊治療や突然の離婚、愛する弟の死と、不幸が重なっていた。
だが薫子は強い‼
だって彼女は「努力によって人生を切り開いてきた女薫子」なのだから。
小野寺 せつな
薫子の弟の元恋人。
29歳と41歳の薫子よりも一回り若い。
長身でドライな態度であり、人を寄せ付けない雰囲気が漂っている。
Amazonでの評価

阿部暁子さん著の『カフネ』は、Amazonレビュー数1,570件で星評価4.5です。
話題の人気作であることが客観的にも分かりますね。
読者の心を掴む高評価レビュー
ここでは、実際に本を読んだ方の感想を一部抜粋してご紹介します。
考えさせられる本でした。
久しぶりに一気に読みました。
石井るみ子
あまり現実的ではないストーリーだけど、文章も美しく、登場人物のバックグラウンドも興味深く、最後にせつなが薫子に心を許して、それがカフネに象徴されたことが、嬉しかった。
登場人物一人ひとりのバックグラウンドは、この作品のタイトル『カフネ』に深みを与えてくれますよね!
本当は全員を詳しく書きたいけどネタバレになるので、書けないのが残念です。
内容もですが、物語に引き込む美しい文章にも注目ですね♪
誰かのために美味しいご飯を作りたくなるような小説
単なる栄養補給だけではない”食”の大切さがヒシヒシと伝わってきて
読んでいると無性に料理がしたくなったり、美味しいものを食べに行きたくなる。
悲しい時も辛い時も美味しい食事があれば心がホッと一息つけると感じさせてくれる。主要キャラの薫子、せつな、春彦の人物描写も丁寧で、後半意外性のある
piyozo
ストーリー展開もあり飽きずに最後まで楽しめた。
そうなんですよ!この物語は単なるグルメ小説ではありません。
誰かと一緒に食べることの楽しさ、自分を労わることの大切さがテーマだと感じます。
それに、登場する料理は文章だけでも美味しいのがひしひしと伝わってくるからすごい。
穏やかなストーリー展開に、たまにメリハリがあって確かに夢中になって読めました。欲を言えばもう少し続きが読みたい…。
おすすめポイント

食を通じて、心と人生が整っていく物語
この物語の最大の魅力は、単なる料理小説ではない点です。温かい手料理は、荒んだ生活を送っていた薫子の体を癒し、生きる力を取り戻すきっかけとなります。
家事代行サービス『カフネ』を通じて、依頼者たちが抱える心の闇も、食事や家事が整うことで少しずつ救われていく描写が、丁寧に描かれています。
悲しみを抱えた二人の女性が、互いに「カフネ」し合う感動
最愛の弟を亡くし、人生のどん底にいる薫子と、過去の闇を抱え、他人との関わりを避けてきたせつな。
性格も境遇も真逆の二人が、互いに助け合い、弱さを見せ合うことで、次第に固く閉ざしていた心を開いていく姿は、読者の心を強く揺さぶります。
タイトル『カフネ』に込められた、深い愛の意味
「カフネ」という言葉が持つ「愛する人の髪を優しく撫でる仕草」という優しい意味と、物語で描かれる「心の愛撫」が深く重なり合っています。
物語のラストで、このタイトルの本当の意味を知った時、きっと涙が止まらなくなるでしょう。この読後感こそが、この本の最大の醍醐味です。
【ネタバレなし】本書を読んだ感想

血の繋がりだけが家族ではないと深く響いた
血が繋がっているからと言って、家族の事はどれだけ理解しているだろうか?
少なくとも薫子は、両親にあまり理解をしてもらえていなかったと思う。
薫子だけではない。
この物語の登場人物はどこか皆、孤独を抱えているように感じる。
その中薫子は、干渉し過ぎでは…と思うほど、せつなに関わっていきます。
初めはおせっかいすぎると感じていましたが、関わっていくうちにせつなの心が溶けていくのが分かりました。
私なら初めの第一印象で関わることを諦めていたかもしれない。
だが薫子は違った。
人と関わることを諦めないことで、拒絶していたせつなとも段々と打ち解けていき、二人はかけがえのない存在になった。
血の繋がりだけが家族じゃない。その人を知ろうとすること、思いやること。この気持ちをお互い持つことが家族なんだ。
そう自分なりに解釈したら心がじんわりと温かくなりました。
穏やかな物語だが春彦の真相には動揺が隠せなかった
「最愛の弟・春彦はなぜ死んだのか」「遺言書を残していた理由は?」「自殺でも他殺でもないって本当?」
などなど、弟に関する謎が多い。
起承転結のまさに「転」ほどのあたりで明らかになるわけですが、まさに「転」という文字が似合っています。
この場面だけは驚いて「えっ」と言葉に出ていました。
ぜひ真相は本書でお読みになって下さい。
『カフネ』というタイトルと物語のリンクに感動した
あくまでの私の考察です。
カフネとは『愛する人の髪を優しく撫でる仕草』という意味で、物理的に撫でています。
本書では、食や家事を通して薫子が、せつなが、家事代行で関わった人々が癒されていきます。
食や掃除を通して、心が身体が整ってくれること。辛いときにそっと寄り添ってくれるこの物語自体が読者である私たちの心をそっと撫でてくれるような気がします。
つまり『カフネ』という肉体的な意味のままではなく、精神的な『カフネ』を優しくそっともたらしてくれる物語だと感じました。
こんな人におすすめ

美味しそうな料理が出てくる物語を読みたい人
作中には、読むだけで美味しさが伝わってくる素敵な料理が登場します。
どれもあのドライな彼女・せつなが作ってくれます。
ギャップがあっていいですね!
「トマトとツナの豆乳煮麺」「お手軽ローズチョコパフェ」「大きな骨付き肉と甘酸っぱいビール風りんごソーダ」など魅力的な料理の数々。
実際にレシピが見たい方はこちらの『カフネ公式サイト』をご覧ください。
大切な人を失い、心にぽっかり穴が空いてしまった人
この物語は、愛する弟を失った主人公が、その悲しみを乗り越えていく過程を描いています。
グリーフケアの物語としても秀逸で、悲しみに向き合う勇気を与えてくれるでしょう。
辛い過去を抱え、前に進むきっかけを探している人には、きっと深く刺さる一冊です。
人間関係の難しさや、孤独を感じている人
物語には、孤独を抱えた登場人物たちが多数登場します。
人との関わりに不器用な主人公たちが、少しずつ心を通わせていく様子は、読者に温かい希望を与えてくれます。
特に、身近な人間関係に悩んでいる人や、人との繋がりを求めている人におすすめです。
読むだけで心が温まる、優しい物語を探している人
この小説は、読むと心がじんわりと温かくなり、前向きな気持ちになれます。
派手な展開はありませんが、登場人物たちの繊細な心の動きや、温かい手料理の描写が、日々の疲れを癒してくれます。
「感動したいけど、悲しいだけの話は苦手」という方にも、心からお勧めできる一冊です。
まとめ:【書評】阿部暁子『カフネ』

この記事では、阿部暁子さん著の『カフネ』の魅力や感想、評判をご紹介しました。
主な登場人物である、薫子さんやせつなを中心にご紹介しましたが、本作には魅力的な登場人物が多数存在します。
家事代行で関わった生意気な少女や春彦の同僚、家事代行の社長など、この作品を彩る彼ら彼女らもどうぞご覧ください。
すべての登場人物が何かしらあなたの気持ちにそっと寄り添ってくれますよ。
そして読後は、あなたの心をそっと撫でてくれるような優しさに包まれます。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
なお、『カフネ』は聴く読書Audible(オーディブル)の聴き放題対象です。
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