【書評】宮島未奈『婚活マエストロ』：会社に属さない私の心に響きました

成瀬は天下を取りにいくで本屋大賞を受賞した宮島未奈さん。

その著者の3作目の作品「婚活マエストロ」の書評・感想を独自にお伝えしていきます。

ネタバレなしで、本書の魅力をお伝えしていきます！

【基本情報】婚活マエストロ

【あらすじ】婚活マエストロ

40歳の三文ライター・猪名川健人は、婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を書く仕事を引き受ける。安っぽいホームページ、雑居ビルの中の小さな事務所……どう考えても怪しい。
手作り感あふれる地味なパーティーに現れたのは、やけに姿勢のいいスーツ姿の女性・鏡原奈緒子。場違いなほどの美女だが、彼女は「私は本気で結婚を考えている人以外は来てほしくありません」と宣言する。そして生真面目にマイクを握った――そう、彼女は婚活業界では名を知らぬ者はいない〈婚活マエストロ〉だった。

その見事な進行で、参加者は完全にマエストロ・鏡原の掌の上。彼女は何者なのか、なぜこんな会社で働いているのか、〈マエストロ〉ってなに……謎は深まるばかりだが、猪名川は同社のイベントを手伝うことに。65歳以上のシニア向け婚活パーティーから、琵琶湖に向かう婚活バスツアー（クルーズ船「ミシガン」に乗車）まで。これまで結婚に興味のなかった猪名川も、次第に「真面目に婚活するのも悪くないかもしれない」と思い始める。
ものは試しと他社が運営する婚活パーティーを訪れてみると、そこには参加者として席に座る鏡原の姿があった――。

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婚活マエストロと言われる鏡原さん。

強い口調や仕事ぶりから近寄りがたくも感じます。

なんで婚活マエストロって言われているの？

普段はどんな人なの？etc.

そのミステリアスな雰囲気から正体が気になる‼

それに主人公の猪名川健人。

前作の成瀬シリーズ主人公・成瀬あかりが強烈だっただけに振り切った印象。

大丈夫？と心配と応援がしたくなります。

猪名川健人×婚活マエストロはいったいどんな化学反応が出るのか目が離せない！

【比較】前作成瀬シリーズと婚活マエストロ

年代の違い

成瀬シリーズは、中学から大学生の若い年代が主人公でした。

本書の主人公は、40代の大人です。

年代からも前作と大きく違う内容であることが予想できますね。

一体、宮島未奈さんはどんな風に書き上げてくれているのか気になりますね！

同じく青春を感じられる

登場人物の年代や性格は大きく変わります。

成瀬シリーズは、人とは変わった子と思われがちな成瀬の行動力、落ち着いた雰囲気がありつつも、やはり若さがはじけているような印象でした。

本作は40代の男女が主人公です。

大人の恋愛ですし、奥手そうな雰囲気の猪名川をみていると、前作と全然違うなと感じました。

ですが‼

読んでいくうちに、意外と積極的だな猪名川‼という印象に変わり、婚活の出会い、鏡原とのやり取りなどを通し、

めっちゃ青春してるじゃん‼

と、心が躍りました。

本書はタイトル通り恋愛がテーマ

前作は、予測できない成瀬あかりの行動、周囲を巻き込んでいくスタイルなどが魅力でした。

恋愛に興味がなさそうなタイプでしたので、成瀬が異性から好意を向けられた時の成瀬の表情が目に浮かぶようでした。

ですが、前作にとって恋愛表現はあくまで一部分。

読者の心を惹きつける著者の文才が、恋愛をテーマにした婚活マエストロがどんな話なのか気になりますね。

前作となじみがある場面がエモい

成瀬シリーズは、滋賀県を中心に描かれており、実在する登場人物や建物が出てくるのでリアル感がありました。

前作を読んだ人は、滋賀県や琵琶湖、ミシガンなどの名称に反応する人もいるのではないでしょうか。

本作でも、なじみ深い名称が出てきます。

きっと成瀬シリーズを読んだ方は、より楽しめるのではないでしょうか。

もちろん成瀬シリーズを読んでいなくても、別の話ですので、婚活マエストロからでも楽しめますよ。

【書評】婚活マエストロ：専業ブロガーの私に響きました

タイトルから分かる通り、本書は恋愛がテーマの物語です。

恋愛だけでなく、主人公・猪名川と鏡原、他にも登場する大家や婚活参加者の人間模様が魅力だと感じました。

前作は変わった主人公・成瀬あかりの行動力、学生というフレッシュさが青春を盛り上げていたように感じます。

本書は大人な主人公らがメインなので、落ち着いた雰囲気になってしまうのかな？と、成瀬シリーズファンの私にとって少し不安を感じ読みました。

しかし、激しさはあまりないかもしれないけど、確かな心の揺さぶり、ときめきがあり、大人の青春を感じることができました。

それに、主人公と自分が重なり所々深い共感と感動が得られたんです。

ライターという仕事は会社に属さないため、人の役に立ったという満足感が得られにくいんですよね。

私自身、専業ブロガーをしており、かなり似た仕事をしています。

自分から望んでしている仕事ですが、社会と切り離された感じがするんです。

主人公はあらすじにある通り、婚活イベントを手伝い、参加者から「ありがとう」と言われるんです。

たったそれだけですが、役に立ったという実感が痛いほど伝わってきて、心が熱くなりました。

このように、恋愛がテーマではありますがそれが全てではありません。

エンタメとして様々な人に愛される作品なのではないでしょうか。

【こんな人におすすめ】婚活マエストロ

恋愛がしたい人

大人になってからどう恋愛すればいいのか忘れた、という人もいるのではないでしょうか。

本作の主人公もまさにそんな感じです。

婚活パーティーというきっかけから色んな人と交流していく猪名川にきっと勇気をもらえると思います。

婚活に興味がある人

婚活や婚活パーティーに興味がある人は予行練習になるかもしれません。

私自身、婚活パーティーという名しか聞いたことがありませんでしたが、とても興味を持てました。

出てみたいっ。

婚活スタッフになりたい！

そんな気になってしまいました。

個人事業主、フリーランスの人

書評でも書きましたが、会社に属さない仕事をしている方は、主人公・猪名川と共感できる部分があるのではないでしょうか。

フリーランスってまだあまり多くなく、友人とも共感しずらいですよね。

誰かと共感したいけど相手以外ない。

本書は、そんな人におすすめしたいです。

私は心が温かくなりました。

大人の青春を感じたい人

学生のまさに青春という物語もいいですが、読者が30代を過ぎた大人なら本作はもっと読み心地が良いと思います。

大人でも青春ができるんだよな！

と、思い出せたり、励まされたような気分になります。

大人の心躍る青春を感じてみませんか。

成瀬ロスの人

私は成瀬シリーズを2冊読み終わり、まさに成瀬ロス。

続編に期待していたわたしにまさかの別作品。

「がーん、ずーん」という音が胸に鳴り響く。

ですが著者のファンですので、もちろん読むことに。

成瀬シリーズを読んだ人なら思わずワクっとする場面があり、エモかったぁー。

若者言葉のエモいなんて初めて使いますが、多分これであってるはず(笑)

エモかった～。

それに宮島未奈さんの安定の読み心地で、成瀬ロスが癒されました。

今度は鏡原ロスになるかも…。

まとめ：恋愛好き＆一人職場の人＆著者のファンは読んで！

この記事では、宮島未奈さん著：婚活マエストロの書評をお伝えしました。

本書の魅力は伝わったでしょうか？

私のフリーランスという視点で書きましたが、読み手によって印象は違うはず。

本書に興味が出た方は、ぜひ読んでみてください。

この気持ちを共有出来たらわたしも嬉しいです。

また、前作の成瀬シリーズをまだ読んだことがない方は、ぜひこちらもおすすめです。

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