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【書評】西 加奈子『サラバ!』なぜ本書は心を揺さぶるのか?読後、生きる力が湧く傑作

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【書評】西 加奈子『サラバ!』なぜ本書は心を揺さぶるのか?読後、生きる力が湧く傑作

僕はこの世界に左足から登場した――。

本書の1行目からなんとインパクトのある言葉でしょうか。私はゾクッとするような、ワクワクするような不思議な高揚感に包まれました。

この胸の高鳴りは、長編大作にも関わらず決して冷めることなく読み終わりました。

そんな本書の魅力をこの記事では、ネタバレなしで詳しくご紹介していきます。

この記事で分かること

  • 『サラバ!』のネタバレなしの魅力や感想、評判

『サラバ!』の基本情報

作品情報

タイトル:サラバ!

巻数:単行本は上下巻の2巻、文庫本は上中下の3巻

著者:西 加奈子

本書の受賞:第152回直木賞受賞

出版社:小学館

発売日:2014年10月29日

ジャンル:青春小説、成長小説、家族小説、社会派小説

著者情報

西 加奈子さんは、1977年イランのテヘランで生まれで、エジプトのカイロと大阪府で育ちます。

読者の心に寄り添う温かい物語が多く、こんな世の中だけど頑張ろうと‼思えるような作風が特徴です。

代表作は本作の『サラバ!』以外にも、『さくら』や『きいろいゾウ』『漁港の肉子ちゃん』などがあります。

『さくら』は北村匠海さん、小松菜奈さん、吉沢亮さん主演で実写映画化され、『漁港の肉子ちゃん』は明石家さんまさんがプロデュースしアニメの映画化がされました。

あらすじ

あらすじ

僕はこの世界に左足から登場した――。

1977年、父の海外赴任先であるイランで、圷歩(あくつ・あゆむ)は左足からこの世界に生まれ落ちた。

愛する家族、そして異国の地で出会う人々と共に、波乱に満ちた人生の旅が始まります。イラン革命を機に日本へ帰国した歩は、大阪で「普通」を求めて奮闘します。しかし、周囲に馴染めない姉は孤立を深めていき、家族はそれぞれの人生を歩み始めます。

やがてエジプトへと渡った歩は、新たな異文化の中で、彼の人生を大きく変える運命的な出会いを果たします。

これは、一人の少年が大人へと成長していく中で、愛と絶望、そして再生を経験する、壮大な旅の物語です。

主な登場人物

主な登場人物

本書の登場人物は非常に多いので、家族や序盤に出てくる主要なキャラを紹介します。

圷歩(あくつあゆむ)

物語の語り手であり、本作の主人公。

内向的で、周囲に流されがちな性格ながら、常に「自分とは何か」を探し続ける。

彼の独特な視点から描かれる家族や世界が、この作品の魅力です。

整った顔立ちで、小さい頃から人に可愛がられる。

圷貴子(あくつたかこ)

主人公・歩の姉。

歩とは対照的に自由奔放で強烈な個性を持つ。

彼女の言動が、物語の転換点となります。問題児の姉・貴子は家族への影響力がありますが、特に歩の人生にまで関わってきます。

歩と貴子の関係性がどのように変化していくのかに注目です。

歩とは対照的な容姿である。

圷奈緒子(あくつなおこ)

主人公・歩の母。

しっかりと歩や貴子への愛情はあるが、『母』というよりも『女性』として生きている印象が強い。

また、人一倍幸せになることに固執している。

容姿端麗で、普段から服装もメイクもバッチリ決めている。

圷憲太郎(あくつけんたろう)

主人公・歩の父。

背が高く、シュッとしている。口数は少ないが、優しい。

海外赴任を繰り返しており、経済的に安定しているのは父のお陰。

ヤコブ

父の赴任先のエジプトで出会った少年。

エジプシャンを怖がる歩が唯一仲良くなれた親友。

お互いの言語が分からずとも何となく意思疎通ができ、心で通じ合えている特別な存在。

矢田のおばちゃん

近所に住む50代独身のおばちゃん。

特別な存在感があり、困ったら彼女に相談すれば解決できると言われる地域のリーダー的存在。

自らは宗教とは名乗らないが、「サトラコヲモンサマ」という祭壇を構えるようになる。

後にあの問題児の姉に大きな影響を与える存在になる。

Amazonの評価

Amazonの評価

西 加奈子さんの『サラバ!(上)』は、Amazonのレビュー数296件で、星評価4.3です。

ここでは、実際に本を読んだ方の感想を一部抜粋してご紹介します。

読者の心を掴む高評価レビュー

生きる大切さ

読み始めると吸い込まれるように、次はどうなるか?
まるで自分が物語の人物になった感じで3冊一気に読みました!
海外問わず友達の大切さや生きるとは大変な事を乗り越え感動しました!

平尾恵美子

読み始めたら止まらない

イランやエジプトに行ったことなくてもその状況が目の前に見える。

野々村紀子

良いレビューで多かった声は、情景描写が上手なこと、思わず作品に惹きこまれる没入体験を味わえることでした。

確かに、海外に行ったことがない私も文章だけで、「こういう場所」で「こういう人たちがいるんだ!」「そして匂いはこんな感じ」。と、文章が五感に響きわたり素晴らしい没入をもたらしてくれます。

3冊という長編大作もあっという間に読み終わりますよ!

賛否両論?悪い評価にも注目

これからに期待

オーディブルにて。
少し変わった境遇の少年が様々な出来事を通じて成長していく様を描いている。
丁寧に描いており、やや助長かなと思う部分もある。

うさぎニンジン

長編大作の日常系は、特に歩の少年時代が長く感じたという声がありました。

日常系やヒューマンドラマが好きな人にとっては、笑いあり感動ありと楽しめますが、そうでない方はおすすめできないかもしれませんね。

おすすめポイント

おすすめポイント

壮大な日常系を楽しめます

本書は、文庫本では上中下の3巻、オーディブルでは約21時間と長編大作なことを分かっていただけると思います。

日常系やヒューマンドラマって、ずっと見ていたくなるような不思議な魅力がありますよね。

本書にも、長い物語でも読者の心を離さない魅力が隠されています。

読後、このボリュームと納得の内容に満足すること間違いなしです‼

心をえぐる、人間関係のリアルな描写

変わり者の姉、誰よりも幸せになりたい母、そして寡黙な父。この物語には、美しさも醜さも併せ持つ、生々しい人間たちが登場します。

特に、主人公・歩の「問題児」の姉は、物語全体を通して最も強烈なインパクトを残す存在です。彼女は時に歩の人生を大きく揺るがし、読者の心をかき乱すような行動を起こします。

しかし、その一方で、彼女の言葉や生き様は、歩の人生、そして読者自身の人生観にまで、深い問いを投げかけます。彼女の存在は、単なる「問題児」という言葉では片付けられない、複雑で愛すべき人間として描かれています。

ぜひ、この物語で、歩と姉の関係がどのように変化していくのか、そしてその中で見出される「家族の愛」や「人間の弱さ」に触れてみてください。

西加奈子さんのユーモアと独特な感性

時折り、重いテーマを扱っても、物語全体には西加奈子さん特有のユーモアと、読者の心を掴む言葉選びが溢れています。

時に哲学的に、時にユーモラスに描かれる文章は、読者を物語の世界に強く引き込みます。

海外小説や洋楽などの芸術に触れる点も素晴らしいです。

心揺さぶる体験があなたを待っています。

【ネタバレなし】本書を読んだ感想

【ネタバレなし】本書を読んだ感想

歩が大きくなるまでの日常が笑いや感動で溢れている

  • 1巻は歩が生まれてから中学生までの出来事
  • 2巻は歩が高校生から社会人までの出来事
  • 3巻は歩の大人編の転結を描いています

このように、歩の成長という壮大な旅を描いており、簡単に言うとめちゃくちゃ長い日常系なんです。

私はオーディブルで読みましたが、上中下合わせて約21時間もありました。

がしかしですよ!

そんな長い日常系ですが、もっと読んでいたい!何なら読み終わりましたが、2周目3周目をしたいほど夢中になれる物語でした。

例えば、「幼稚園の恋愛話で登場してきたクレヨン」や「異国生活での卵かけごはん詐欺」など日常を彩る事件には、笑わせてもらいました。

しかも、ちょっとした伏線回収もあったりと長い物語でも、読者の心を離さない魅力に包まれていました。

笑いや感動、爽快感など気落ちが良い感情がたくさん得られますよ。

親友ヤコブと「サラバ!」との出会いと別れに感情を揺さぶられた

「サラバ!」という言葉は、二人の仲では特別な意味を持ちます。

言葉の壁がある二人には、その言葉さえあれば障壁がなくなる魔法のような言葉なんです。

出会いもあれば別れもあります。

しかし、二人の別れは違う国に住んでいる者同士、もう会えないと心のどこかで分かっており、特別な別れでした。

その別れの場面は一番印象に残っているかもしれません。

「サラバ!」

ただの別れの言葉ではない、二人の絆を象徴する言葉が響き渡りました。

この場面は歩とヤコブと同じくらい泣きました。

ぜひ、ヤコブという少年との出会いや「サラバ!」に込められた想いをあなたとも共有したいです。

読後、この小説のメッセージ性に震えた

読後、この小説のメッセージ性に驚きました。

なぜ「メッセージ」にじゃなく「メッセージ性」なのかというと、この小説自体が読者へのメッセージになっているからなんです。

本書の著者『西 加奈子』さんは間違いなく天才ですね‼‼

小説を楽しむだけで、人生の目標や生きていく力を頂きました。

この衝撃と感動に私は心と体が震えました。

面白かった小説を読み終わった時、「記憶を消してもう一度読みたい‼」と、思うことってありますよね?

本書に限っては、記憶そのままでもう一度読みたいと思える良書でした。

こんな人におすすめ

こんな人におすすめ

ヒューマンドラマや日常系が好きな人

人間ドラマや登場人物の日常を見るのが好きな人にとって、「サラバ!」はとてもおすすめできます。

読み応えと、所々に笑いや感動、事件、芸術などがあり最後まで飽きません。

しかも読み終わった後は爽快感がハンパないです。

生きる目標や生きていく力が欲しい人

読後の爽快感がハンパないとお伝えしましたが、それだけじゃない‼

読んだ後は自分が主人公に戻る番がやってきます。

あなたはどう生きるか考えさせられ、やる気に満ち溢れることでしょう!

「サラバ!」の由来や主人公「歩」のその後が知りたい人

あらすじやこの記事で紹介した本書の魅力を気になった方もぜひ読んで頂きたいです。

「サラバ!」は歩とヤコブの特別な言葉ということは分かったと思いますが、その由来やその言葉がなぜ本書のタイトルになったかなど謎だと思うんです。

ぜひ、本書を読んでスッキリして頂けたらと思います。

それに、周りに合わせて、ある意味器用に生きてきただけの歩は、どんな人生をあゆんでいくのかにも注目です。

まとめ:【書評】西 加奈子『サラバ!』

まとめ:【書評】西 加奈子『サラバ!』

この記事では、西 加奈子さん著の『サラバ!』の魅力や感想、評判をご紹介してきました。

物語の旅路で、あなたは主人公・歩の成長を追体験し、笑い、涙し、そして自分自身と向き合う力を受け取ることでしょう。

この小説は、ただの物語ではありません。

「サラバ!」という言葉に隠されたメッセージは、きっとあなたの人生をより豊かにしてくれることでしょう。

ぜひ、この機会に、人生の歩みを見つめ直す、心を震える読書体験をしてみてください。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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