なんと強烈なワード……。
プロポーズされた彼女は、彼のことをどう思うのでしょうか?
あなたなら「許す?」「許さない?」
そんな答え探しをこの物語でしてみませんか?
『恋とか愛とかやさしさなら』の基本情報
作品情報
タイトル:恋とか愛とかやさしさなら
著者:一穂ミチ
受賞:2025年(第22回)本屋大賞ノミネート
出版社:小学館
発売日:2024年10月30日
ジャンル:恋愛小説、社会派小説、ヒューマンドラマ
著者情報
一穂ミチ(いちほ・みち)さんは、大阪府出身の小説家です。
どんな人もその人なりの主張や信念があると考え、誰も否定しないことを作風としているようです。
2007年に『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。
代表作に、『スモールワールズ』や『光のとこにいてね』があり、それぞれ本屋大賞3位、『ツミデミック』に関しては2024年の直木賞を受賞している。
主な登場人物

関口新夏(にいか)
本作の主人公で、カメラマン。恋人・啓久と5年間交際し、プロポーズした翌日に彼の盗撮が発覚するという、辛い現実に直面します。
彼女は被害者でありながら、加害者の恋人を愛しているという現状に葛藤します。
新夏の視点を通じて、「人を信じること」「愛すること」の難しさがリアルに描かれています。
神尾啓久(ひらく)
本作のもう一人の主人公で、新夏の長年の恋人。物語の冒頭で新夏にプロポーズし、幸せな未来を誓います。
しかし、その翌日に盗撮で逮捕されたことで、彼は愛する恋人から「加害者」として見られるという、過酷な状況に置かれます。
彼の行動は、読者に「なぜ彼は盗撮をしたのか?」という問いを投げかけ、人間の欲望や弱さについて深く考えさせます。
あらすじ
プロポーズの翌日、恋人の啓久が女子高生の盗撮で捕まった。
主人公の新夏は、幸せの絶頂から一転、深い絶望と葛藤に突き落とされます。5年間愛し続けた啓久を信じてやり直すのか、それとも別れを選ぶのか。新夏の心は揺れ動きます。
この出来心で犯した罪は、当事者だけでなく、双方の家族や友人、そして被害者をも巻き込み、それぞれの人間関係に大きな波紋を広げていきます。
本書は、「人を信じること」「誰かを許すこと」、そして「愛とは何か」という普遍的なテーマを、盗撮という現代社会のタブーを通して描く、リアルなヒューマンドラマです。
あなたは、この物語に登場する人々の行動や感情に、きっと心を揺さぶられるでしょう。
Amazonの評価

一穂ミチさんの『恋とか愛とかやさしさなら』は、Amazonのレビュー数337件で、星評価4.1です。
ここでは、実際に本を読んだ方の感想を一部抜粋してご紹介します。
読者の心を掴む高評価レビュー
もしじぶんだったら
ニカみたいにもがくかもしれないけど、やっぱり受け入れられないと思う。もし自分だったらどうするだろう?ということを、ストーリーの節々で考える本でした。
Aya
ニカとは新夏のことです。
もし自分だったらと自分事に置き換えて楽しまれていますね。確かに、新夏の心情の変化や体験談は自分事として、感情移入して私も物語を楽しみました。
自分だったらどうするのか?読むたびに考えさせられます…。
変わらずきれいな文章に引き込まれました
ニカの心の葛藤が分かりやすく言語化されていて、答えはないんだけれど、何に悩んでいるのかわからないなぜなら…もとてもよく分かった気がする。一穂ミチさんの恋愛小説はこれだからやめられない。
エイ
一穂ミチさんの小説は、登場人物の心情をとても丁寧に描いてくれていますよね。
何と言いますか、言葉にならないこの気持ちを代弁してくれているようです。
それに文章も美しく、自然と感情移入してしまいます。
賛否両論?悪い評価にも注目
全員自分勝手でとても人間らしいストーリーに感じた
登場人物が1人を除いて全員最初から最後まで自分の事しか考えない人ばかりで、でも実際こうだろうなぁと感じた。人間だなぁと。
唯一被害者に同情を示していたお姉さんを過激で短慮なタイプみたいな人物像でストーリーに組み込んでいて非常に疑問だけど、作者の方が彼女をこういう風に書きたかったという結果がこの本なのだろうから仕方ないけど。
かぼちゃ
本当に良い意味で「人間らしさ」を感じるストーリーですよね!
この方がおっしゃっているように、もっと新夏を擁護する人を増やしたり、落ち着いた人を選定してほしい気持ちとてもよく分かります。
それもこれも人間らしさを追求しての事でしょう。
また、違う視点から見たら、お姉さんという強烈なキャラのお陰で救われる性被害者の方もいるかもしれません。
おすすめポイント

【甘くない!】恋愛小説に考えさせられる
恋愛小説と言っていいのか自信がなくなるほど、社会派な要素が強い物語です。
恋人の性犯罪を許せるのかどうか。プロポーズの返事は…?
あなたも新夏の立場になって、恋人の事を考えてみませんか。
盗撮という犯罪をテーマに加害者、被害者双方の心理が描かれている
盗撮をした啓久と性被害者の高校生のその後も描かれています。
お互いの気持ちの整理はつくのか。被害者の女子高生の心情もリアルに描かれています。
それに「盗撮」という犯罪の扱われ方にも大注目です!
人間らしさや「弱さ」が浮き彫りにされている
この物語は、新夏と啓久の二人の問題が、友人やお互いの家族と段々と問題が波及していきます。
「性犯罪」という非日常が、普段は見せない裏の顔を剥いでいくことになります。
人は辛い時や弱っている時に、普段見せない、見たくもないその人が浮き出てきます。
人間の美しいところも醜いところも浮き彫りにされる所が本作の魅力の一つと言ってもいいでしょう。
【ネタバレなし】本書を読んだ感想

一番の感想は「啓久の行動が信じられない」
あらすじを見た人も、本書を読み始めた人も誰しもが、啓久の行動が許せないのではないでしょうか?
5年間も付き合って、しかもプロポーズした翌日に盗撮で逮捕されるとか、恋人・新夏がどれほどショックで悲しい思いをするかが考えられなかったのでしょうか?
きつい言葉ですが、理性があるノーマルな脳の働きがないのでは?と、軽蔑してしまいます。
私にも学生時代から交際し、結婚に至った妻がいます。
啓久の考えを理解しようと思っても、私にはどうしても彼女・妻の事を傷つける行動は取らないという思いが強いため、一番心に残った場面でした。
登場人物の考えに憤る
人それぞれ考えが違うのは当然の事でしょう。
その考えが根底にある私ですが、登場人物たちの、新夏と啓久への対応にはモヤモヤします。
私の中では、新夏が完全なる被害者という考えで固まっているせいでしょうか。
共通の友人やお互いの家族、社会のルールに注目です。
答えのない問題に向き合う2人に力をもらえた
読み終わって、最終的には「明日からの力をもらえた」と、気持ちの整理がつきました。
新夏の立場って本当に難しいと思うんです。
「許す」か「許さない」か。単純な二択なようにも感じますが、人が絡む問題はそんなに簡単ではありません。
新夏自身の心の問題だって大きいはずです。
啓久が誠心誠意、謝る&新夏が納得できる理由を説明できて、初めて「許す」か考え始められると思うんです。
しかし、人は思うようには動いてはくれません。
それは加害者である啓久だって感じていることでしょう。
だからこそ、二人の答えの出ない問題へ取り組む姿は、考えさせられました。
生きていれば答えのない問題はたくさんあります。
そんな難しい人間関係が絡む人生を、現代を、今日も生きていくんだという力を、この小説から頂いたように感じます。
こんな人におすすめ

甘くない恋愛小説を読みたい人
本作はラブコメとは違う世界線にいます。
恋人同士が二人の難しい問題をどうやって解決していくのか。
そんな考えさせられる社会派な物語を求めている方におすすめです。
盗撮という社会派問題を物語として考えたい人
ニュースで時折耳にする「盗撮」という性犯罪ですが、加害者と被害者のその後はどうなるかご存じでしょうか?
そんな「盗撮」という犯罪の裏側がリアルな描写で描かれています。
性犯罪という社会の問題に向き合いたい方におすすめです。
自分なら許せるか?どう落としどころをつけるか一緒に考えながら読みたい人
恋人がプロポーズ翌日盗撮で捕まった
この強烈な言葉にひかれたあなたは、ぜひ本書を読むべきです‼
自分なら許せるのか?主人公の女の子はどういう決断を下すのか⁉
ぜひ、自分事と置き換えながら、この物語をお楽しみください。
まとめ:【書評】一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』

この記事では、一穂ミチさん著の『恋とか愛とかやさしさなら』の魅力や感想、評判をご紹介しました。
「盗撮」というなかなか普段関わらない、関わりたくもない犯罪を取り扱った、なんとも考えさせられる恋愛小説でしたね。
男性の立場である私ですが、新夏の立場になって楽しむことができました。
楽しむという表現が正しいか微妙かもしれないですが、自分が新夏なら恋人のことを「許す?」「許さない?」と自分事として、考えながら読むことができました。
恋人がプロポーズ翌日盗撮で捕まった
この強烈なワードが気になった方や自分ならどうするか悩んだ方は、本書をどうぞ手に取って答えを探しにいきましょう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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